地球という大地は,人間の愚かな行為をせき止める術を持たなかった。だが,ワイヤードは,それ自体が知性を持ち,戒めを与える存在となりえる,かもしれない。そこから,人は進化するのか,自滅するのか?
ロンドン証券取引所では,サーチスペース社の知的取引監視技術による人工知能を組み込んだ,詐欺行為発見ツール「モニターズ」を採用している。このツールは,学習能力を持っており,柔軟な推論ロジックを使って,取引活動を独自に分析,理解する。遺伝子アルゴリズム,ファジー理論,ニューラル・ネットワーク技術が融合されて作動している。
人工知能という言葉自体,もう何年も前から使われているが,驚くほどの関心を持ったことはなかった。知能を持ったといったって,到底人間には及ばない,応用が利かなくって,融通が利かなくって,という代物でしかない。だが,いつの間には,驚くほどの進歩をしていたら,このワイヤード上に,神のような存在として,人工知能を存在させることも可能かもしれない。
もし地球が知能を持っているとしたら,無駄な争いを繰り返し,環境を劣悪化させていく人間に対し,なんらかの処置を施していたことだろう。だが,人は相変わらず,同じ所業を繰り返している。しかし,ワイヤードには,人工知能による知性を持った神を存在させることができるかもしれない。そして,(つまらないことには口出しなどしないだろうが)目に余る所業に対し,罰を与えるかもしれない。人はその時,懺悔の言葉を口にするのか? そして,自らの身を戒めることを知ることができる,のか?
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